Helmet and Goggles
 日本にいた頃は「ヴィンテージヘルメット」にそれほど興味は無かった。というのはあまりお目にかかることもないし、あったとしても数は限られる。モノによってはかなりの高額にもなるために手が出しにくくて、敬遠していた部分もあった。英国では頻繁に見つけることができるかと言うと、英国でさえ高い値段で取引されることが多く、部品市に行ったとしてもほとんど見ることは無い。ただ、こちらのROCKERでこだわる人たちはみんなかぶっているし、目にすることは多い。そして、ヴィンテージ・ギアを扱うナイジェルのハイスタークラシックスのおかげで手に入れようと思えば可能な環境。そんなことが重なって興味を持つようになった。自分自身「コレクター」にはならないし、そこまでマニアになるつもりもないけれど「定番」ものとして紹介したいと思う。(個人的にジェットが好きなのでお椀はノータッチ)



*Stadium・スタジアム Project 4・プロジェクト4
あるロッカー曰く、当時一番人気があった(買いやすい値段帯だった?)メーカー・スタジアム。自分が持っているのは「プロジェクト4」というモデル。内装のサテンが青、帽体の裏側が赤く着色されたコルク、表の耳〜あごにかけては白い合皮。帽体の形にくせが少なくてとっつきやすい形だと思う。プロジェクト2は内装が赤だったり、プロジェクト3は帽子のつばがついている形。ラインの真ん中部分が赤だったり、ブルーだったりとするものがポピュラーか?自分のは無造作に白でリペイントされているがそれもまた良し。



*KANGOL・カンゴール METEOR・メテオ
カンゴールの最大の特徴は帽体の形にあり、正面から見たときに外に向かってややフレアしている。ヘルメットが昔の中世の兜を元に発展してきたことを感じるシルエット。メテオのほかに「コメット」「スペース・マスター」という型名もある。内装は青いサテンで耳〜あごは白、あご紐は黒い合皮。カラーリングの組み合わせが渋い一品。映画「LEATHER BOYS」で主人公がかぶっているものと同一のものではないかと思うが如何に!?年代が後になるとカラーリングのラインが増えてそれもカッコイイ!




*EVEROAK・エヴァオーク RACE MASTER・レースマスター
でました真打!? 日本では新品で手に入るレプリカメットとしては「PRO LES LESTON」の人気が高いけれど、その元型になったのがこいつらしい。自分も初めて買ったヘルメットはまさにレスレストンだったけれど、違いは帽体の形にある。オリジナルのものは側面の下部に独特の丸みがある。そのせいで愛嬌のあるどん臭さがでてくる。表面の塗装にも個体差があり、「つるっ」とし過ぎていないぼこぼこ感がたまらない。内装もこだわっていて、豚革のなかでも高級品とされる「ペッカリー」のものが使われていたりする。(牛革もあるようだ)当時のラインナップの中でも高級志向に入っていたようだ。他にはGLOBE MASTERやCLUB MASTERという型もあり内装は布製。


レスレストンの帽体の前頭部が直線的なのは、日本人の形に合わせてその原型をズバンと切ってしまったからだそうだ。
(ネタ提供・レザーガール)

日本ではゴーグルといえばHALCYON・ハルシオン。だがオリジナルにこだわればSTADIUM・スタジアムは代表選手。その中でも最もポピュラーなのは「Mark9」となるだろう。こげ茶のボディに曇ったメタルパーツ(メッキではなくて塗装か?)、裏面は生成り色でそれがちらりとのぞくコントラスト。使い込むうちにメタルパーツが部分的に擦れて、真鍮がでてくる。50,60年代は今と違い、ストラップがもっと細く、幅2cほどのグレーのゴムだった。レースマスターとあわせると、その細いゴムストラップとあいまって当時の雰囲気がよくでる。ただ、そのゴムのストラップはほとんどの場合経年劣化していて使い物にならないので、そこはハルシオンのものに交換したりする。その後、写真にあるようにストラップが2トーンになったりするようだがこれも大抵のびていて使い物にならない。ハルシオンがこのスタジアムのゴーグルを復刻して作り続けていると聞いたことがある。確かに、ハルシオンとスタジアムのものは形がまるっきり一緒だし、型名も合うようだ。「Mark9」は中心をノズルで調整するタイプで「Mark8」は平べったい金具での調整。もともと「ハルシオン」の語彙が「古きよき過去」的なニュアンスだったのでスタジアム社が権利を譲渡したのでは?他には「Melton」というメーカーもあったようで、スタジアムに比べるとやや小ぶりの作りだったようだがほとんど見たことは無い。


左:スタジアムのMark9でも50年代もの。ゴーグル上部の調整部分の金具まわりのつくりが違う。
中:スタジアム・ゴーグルの裏面、特徴の生成り仕様。ここが前期はレザー、後期は合皮になるよう。
右:これまたMark9だが「DG」(Double Glazed)レンズと言うやつでプラスチックのようなレンズ。

 こちらもスタジアム製のVISOR.ゴムのストラップがついているものと、ドットボタンがついているものがある。前者はヘルメットに留め具がついていないモノ用で後者は留め具あり。2005年の夏に帰国した際、名古屋で安く売っている店に連れて行ってもらってゲットすることが出来た。英国で買うよりも安かったってのは不思議な話だが、10年ほど前の円高の時と比べれば倍近い差があるようだ。現在こちらに住んでいる身としては悔しい話!また、英国でもこの辺りの品の値上がりもさらに拍車をかけているのだろうな。ガバッと覆うバブルシールドも快適だけどこちらもクール!長所は息で曇ることが無いこと、短所は雨が降ったら口周りは濡れる。そして、走っているときの風の流れが不思議で鼻にスースー風が入ってくるようだ(笑)。慣れてしまえば気にならなくなったが・・・

プロ レスレストンやDAVIDA、OWEN、CROMWELLなどなど新品で手に入るレプリカを被るもよし、けれど何年も愛用するするつもりでかっこいいものを探すんだったら是非ヴィンテージのものをオススメ!ただ、頭を守る重要なものなのでそれは人それぞれがあって当然。



50年代中ごろから60年代中ごろの広告。

*関連リンク*
・ナイジェルのハイスタークラシックス お宝満載!!  http://www.hi-starclassics.co.uk/

・上記と似た販売方式。ナイジェル曰く、「ロッカショップは真似しやがった!」とのことだが・・・・!?
 イギリスのサイト  http://www.rockashop.com/

・59クラブの2代目リーダー「ファザー・グラハム・ヒュレット」。彼自身の当時の写真を載せてあるWEBからの紹介。PAGE5の写真の一枚。恐らくレースマスターに細いストラップの組み合わせ。  http://the59club.com/public_html/graham/Sites-Pages/Image26.html


AUGUST 2005