Deer and button leather shirt
 
 
NO.005 For Mr.Oda
 クロームなめしのディアスキン・レザーでタンニンなめしのものよりもしっとり感。「もちもち」という言葉がピッタリの革。デザインとしては、カーブした玉ぶちポケット、取り外しができる衿、フロントにラインを作る切り替え。バックの切り替えもMBRエンブレムを意識。ボタンは本水牛ボタンを13ヶ、ボタンホールは変え衿も含め20箇所におよぶ。そこそこの厚みのため(1,3mm)やりにくい仕事を引き受けてくださったボタンホール屋さんに感謝!!(普段は1ミリ未満の布が主のため) 衿回りをすっきりと見せるための型紙上での操作や、袖部分についた裏地は手まつり、動きやすさを優先気味にした袖の太さと見た目のバランス、裏面の見返しもたっぷりと革を使った一品。ちなみに今回「タグ」は後身ごろに直接プリント。 鹿革製


DEER DEER JK!!
NO,006 FOR AKIRA
 タンニンなめしのディアスキンを4枚使った「贅沢」な作品。自分用に以前作成したものは1,2mmのものを使用したが今回はより革自体の雰囲気がより楽しめる1,5mmに厚さを指定して革を仕上げていただいた。また、イメージの黒色との違いにより、再染色をしてもらい、柔らかさをよりだすためにミーリングという加工を行なってもらい仕上がった革。ボタンホール、衿つけ、衿止めはハンドステッチ。美しく弧を描く袖つけ(写真3段目真中)は自分でもかなり納得のライン。手がかかっていないように見えるからこそ、一切のごまかしがきかない一品。オーナーの方は北海道にお住まいなので、かなり長い期間を通じて着ていただけるのでは?10年後、どのような味の出方、光沢がでているかが非常に楽しみな一着。鹿革製

 


−コラム− 「裁断」という悩める愉悦の工程
 どこにどのパーツを置き裁断するか。いつも革とにらめっこします。よく革製のメンズジャケットなどではウエストで真横に切り替え、内側の袖のパーツで上下に切り替えが入っているものが多数ありますがそれは大体において、デザインというよりは裁断のしやすさ=コストダウンにつなげるために行なわれます。しかしこのオーダーJKは裁断の方向を個人的に気に入った方向にほとんど固定し、ゆとりのある裁断をしています。このように1つ1つのパーツが大きくて、反対に小さくて傷が多い鹿革を使用する場合はにらめっこの時間は飛躍的に増えます。要はパズルのようなものです。今回は4枚。前回自分用には3枚でしたがこのように方向を揃えたりする余裕はありませんでした。このJKは裏地がありません。ということは絶えず裏面が目に付き、体に触れます。だから裁断時には裏面の起毛具合も全て確かめ、安定した場所のみを探り当てて行ないました。シンプルなものほどごまかせません。また素材を活かすためのデザインは必然的にシンプルなものに行き着くと思っています。余分なものを削り取って、削り取って、、、それは全体として言うならば「削り取る足し算」とでも言えるのかも知れませんね。「単純」という意味での「シンプル」ではない、それは「黒」にも共通する自分の好きな意識なのでしょうね。



Black&White Stingray bracelet



For MR.M,Okahira 
 「幅7Cで」とオーダーをいただき数回のお話しを経た後に制作した一品。太すぎでは、、という予想とは裏腹にいざ制作してみると渋い一品に仕上がった。表:コードバン 中:牛のベロア 裏:牛のムラ革。エンブレムにはエイを使用し一枚に一箇所しかない部分を白,黒ともに使った贅沢さや、幅の太さゆえに扇形になっているところなどがオーダーの匂いを醸し出している。コードバン(馬革)×エイ革製



Cracking Shirt
 ベージュのレザーの表面にひび割れた感じをだした黒色の顔料が塗布されたホースハイドを使用。一般の「シャツ」の幅広のものではなく、ジャケットに近い袖の作りをしているため、着用したときに袖がかっこ悪く外側にひろがらない。縫い糸には7色に色が変わるモノをしようしているため、一枚仕立ての裏面を鮮やか演出。引き裂くように裁断しているため、切り口が荒々しい感じに仕上がっている。馬革製