The First

彼の好みが一番反映された「衿」
この微妙なカーブ。先端の処理にはかなり気をつかったところ。ジッパーをしめたときの衿の開き具合まで指定してもらった。今後のスタンダードにも要素として取り入れたいところ。
胸ポケット

ポケットの中の布はストライプの布地を使用。幅2,5cのポケットは正面からみた時の重要な部分の1つ。また、ポケットは制作時に身ごろのパーツを「切る」ので失敗は許されない。
サイドのバックル部

ベルト同士をあえて平行にせずに縫製。平行のものよりも細部に「動き」がでるかと思い試したディティール。
裏地、背中の切り替え

シルエットをつくる型紙の操作上、裏地にも切り替えが必要になったので、表とは違うスタンダードな切り替えに。黒い部分
袖口付近

袖口のポケットを使っている人をみたことはないが、デザインのアクセントとして袖口のジッパーとの間隔、長さのバランスをチェック。

袖口裏面

上の写真の裏面。袖口ポケットの袋にはピッグスエードを使用。ポケット布の周りに2重ステッチ。
ポケット布

身ごろのポケット布。玉ぶちポケットには裏面にも裏地と同じ素材を使用。そして、ポケット周りはもちろん、裏地の縫い合わせもほとんどの箇所を2重にステッチをかけてある。表からは見えなくとも、年月を共に重ねるためのつくり。
身ごろの両玉ぶちポケット

身ごろのポケットはかなりの時間を費やすところです。ステッチに神経を集中します。一度外周をぐるっと縫ったあとに両端を最初と同じ針穴に通しながらもう一度縫っていきます。革は布と違い穴をあけて縫っていきますので(布は繊維の間を通す)針穴をむやみに増やすことは切り取り線を細かく入れることと同じなのです。
裏地前身ごろ

胸のところで切り替えが入り、ポケット。この切り替えは上等な仕立てのスーツには入っている「お台場仕立て」を取り入れた。ポケットはピッグスエードでつくっているため、ものの出し入れが硬い革に比べて容易。切り替えより上の赤い部分はキルティング。キルティングになっている表情とサテンをそのまま生かした表情の両方を楽しめる。
裾周り 袖口

ビンテージのものをみていると、裾周り、袖口の裏地が良く擦り切れている。そこで裏地の上にもう一枚布地をかぶせて補強
裏地袖を裏地身ごろに縫い付け

表地(レザー)部分と裏地を間接的にくっつけるなかで一番厄介な箇所。裏地のアームホールを縫うために、ほとんど完成間近のライダースをミシンの台の上で踊るように操らなければならない。


Cigarillo Case
For Ace, Ryuta, Mote and me
 煙草サイズの葉巻「シガリロ」用のケース。いつものワックス仕上げのコードバンを使用。だが今回のコードバンの仕上がりは最高!艶の細かさが絶品。その光沢にはシガーの至福の一服が似合うのでは?裏面はバックスキン(鹿革のスエード)。鹿革の中でもスエードが一番美しいとされる、「手乗り鹿」(別名キョン)という小さな鹿のものなので手触りがとても密で柔らかく、暖かい感触。デザインはこのコードバンを味わうことを一番の念頭においた。サイドにマチをいれずに平面で仕上げたのもコードバンを味わうため。というのは平面の中に、立体であるシガリロやライターを入れ、ケース自体をポケットなどに無造作に突っ込んでいると平面で作られたコードバンのケースにその立体感が生まれてくる。ジーンズに分厚をい財布入れていて、その形に色落ちしているものと同じ感覚。その立体的な光沢こそがコードバンを味わうにおいて最高のものではないか。ライターケースもコードバンで制作。愛煙家へ、、、馬革×鹿革製
   


Big Soil Bag
For Mr.Souhey
 昔ラインナップにあった、「ソイルバッグ」の大型版。ふたの革は独特な模様を持つ鹿革のスエード。そのふたの裏目には厚みを補うために馬革のヌバックをほぼ全面に貼り合わせ。風でのばたつきを抑えるためにスナップをなるべく表からは目立たないようなつくりで、ベルト部分も4mm厚のレザーを使用したりと耐久力も熟慮。鹿×馬×牛革製
   


Chisels Case
For Shogo
 宮大工さんからのオーダーでの「鑿」ケース。無駄なデザイン一切無し。厚さ4mmの馬具用レザーの雰囲気と、直角に縫い合わせているハンドステッチで勝負!の一品。ノミがきっちり収納できるように、革を何枚か積み重ねてスペースを調整。長さは約60cもある大ぶり且つ贅沢な一品。