MANX GRANG PRIX 2007 --2-- 25/26/Aug/2007 |
8月25日(土) 3日目 THE DOGS BOLLOCKS NORI!! |
![]() ![]() ここに住んでいるカレンとピーター。ピーターは、TTやGPレースでクラッシュがあった場合にヘリコプターで駆けつけるドクターの一人、そして何と彼自身もスプリントのレーサーであり、敷地には広い作業場がある。そこは納屋のような面持ちで、ドアが無いため中に入って行くとプロならばきっと唸るに違いない大きな工作機械が何台も何台も並んでいる。エンジンを初めとするパーツも雑多ながら大きな棚にぎっしり詰まっていて、まるでショップのようだ。そしてTriumphと単気筒Jawaのスプリントレーサーが誇らしげに停めてあり、部品取りのためなのか、普段の足用なのかユニットのトライアンフも隅の方にちょこんと置かれていた。マン島に住んで医者兼、レーサー。さらにメカニックも自分でこなすピーター。聞く所によるとリビングにある渋い造りのカウンターも自作だそうで、その多才さは羨ましいを通り越して脱帽。 ![]() 今日からVMCC(ヴィンテージ・モーター・サイクル・クラブ)のイベントが始まり、10時半にSt John's(セント・ジョーンズ)へ集合だそうだ。のんびりしているとあっという間に9時を過ぎ、そろそろ用意を初めた方がいい時間なのにフィディーはまだまだソファーから離れそうに無い。シャロンにいたってはまだ完全にパジャマ。一方のピーターはテキパキと準備をしている。オーナーのカレンが朝の挨拶をしに来てくれた。今日の夜ここでパーティーがあるとの事で、レーサーやメカニック達が集い、マンクスGPを盛り上げてくれる彼らへのお礼のパーティーだそうだ。今日はここでパーティの準備を手伝うとシャロンが言う、だからまだパジャマだったのね。一方のフィディーはやっと重い腰を上げて、準備するのかと思いきやシリアルを食べだし、のんびりカレンと話している!ピーターと自分は定刻に準備完了し、ただぼぉっとフィディーを待つだけ。時間は刻々とせまってくる、そして既に10時。ここ、ソーシャルコテージからセントジョーンズまで絶対30分以上はかかる。10時には出なければいけないのにもう間に合わない!!けどフィディーはまだシリアル食べながら談笑中!おぉーい。そして15分後(一時間ぐらいに感じられた)にようやく出発。忘れちゃいけないのが、フィディーの愛車は最高時速300kmを捻り出すハヤブサだ。朝一全開走行!彼とマシンにとっては朝飯前の事でも、こっちからすると必死で鞭を打っている状態。やっぱりこれだけ速度感が違うと、一緒に走る事が辛くなってくる。体がまだ起ききってないから余計だ。 |
![]() ![]() ![]() 今日のこれからの予定。夕方からはプラクティスがあり、夜にはソーシャルコテージでパーティーがある。そしてBSA GOLD STARを「マン島で走らせてやりたい。」という理由で日本から送ってしまった日本人、Noriさん、通称(?)「THE DOGS BOLLOCKS NORI」がマン島へ到着するので、どこかでお会いしたいと思っていた。そしてロンドンからの旅で、この時点で愛車の走行距離が350mile (約560km)になっていたため、オイルの量などを念のためチェックしなければいけない。それにヘッドライトの球も手に入れなければ。*ちなみに「DOGS BOLLOCK」(ドッグス・ボロックス)は直訳すると「犬の金タ○」となってしまうが、実はほめ言葉で「Great!!」よりもすごい、いや、かなりすごい!という感じになる。彼、Noriさんは英国のBSA GOLD STARのオーナーズクラブ・ミーティングにこれまで数回参加し、さらに今回の「情熱の塊」による暴挙(?)によって、あるクラブメンバーに「DOGS BOLLOCKS!!」と言わせしめた事から、ここではDOGS BOLLOCKS NORI、略して「DB NORI」と呼ばせていただく事にする。また、Noriさん自身よりエッセイ内で「さん」付けしない方が場面がくずれなくて楽しいだろう、と言伝をいただいたので敢えて敬語は使わずに書かせていただく。Cheers, mate! フィディー、ピーターとここで別れる事にする。彼らはこれから友達に会いに行くそうで、誘ってもらったが整備もしたいし予定もある。それにハヤブサとの高速ランデブーはもうごちそうさまです・・・カーク・マイケルを出発し、セント・ジョーンズに戻り、ダグラスまではA1で一本。約40分ほどの快適な帰り道。マウンテンセクションのダイナミックな景色と違い、こちらは木々に囲まれた道で所々に住宅が並ぶ。途中、ダグラスとCrosby(クロスビー)の間にあるキャンプサイトに寄って、設備を確かめる。一ヶ所のキャンプサイトにとどまるよりも、移動した方が違う雰囲気を楽しめるかと考えていた。 |
![]() ![]() ![]() その後一息ついて、DB NORIに連絡を取ってみる。国際電話対応の日本の携帯のようで日本の国番号をナンバーに足すと普通にコールがつながる。そういえば、自分の携帯電話のプリペイドの残高が少ない事を思い出し、話す内容を整理してからかけ直そうと一度切ると、すぐに電話がかかってきた。彼は無事にゴールドスターオーナーズクラブの面々とマン島上陸を果たし、プラクティスはHillberry(ヒルベリー)で見るとの事。その後突然、話の途中で電話が切れてしまった。電波が悪いのかと思いかけ直すがつながらない。不思議に思っているとある事に気が付いた。同じマン島にいるとはいえ、相手が日本の携帯のためそれは国際電話となってしまう。向こうからのコールを受けるだけでもこちらにもチャージされてしまうのだ。会話が切れてしまったのはこちらのプリペイドがゼロになってしまったからだった。時刻は5時を回っていて、6時にはRoadがクローズドされてしまう。急ぎ支度をして出発。まずはガソリンスタンドへ向かう。携帯電話へのプリペイドは電話会社、自分の場合はボーダフォンのカードで行う。ガソリンスタンドや、大きなスーパー、街のコンビニでそのカードを使い、値段分のチャージを行うシステムだ。スタンドへ行き、カードを見せるとこんなもの見た事が無いと言う。電波のネットワークがこちらでは「Manx Telecom」という会社のため、ボーダフォンのカードは全く役に立たないようだ。仕方なく、駄目もとでマンクス・テレコムの10ポンド分のカードを購入し、銀の部分をスクラッチして指定された番号へかける。しかし、元々がボーダフォンのため使用不可!10ポンド捨てる事になってしまった。それに携帯が使えない・・・ ![]() この後、彼が宿泊している南西のエリア「Port Erin」(ポート・エリン)に戻り、ゴールドスター・オーナーズクラブ(以下 GSOC)の集まりに顔を出すという。ヒルベリーから今晩パーティーがあるソーシャルコテージまではとても近い。ここからクレグニーバーへ向かい、そこから小道を辿っていくとコテージの前に出る事ができる。が、まだ時間が早い。南西のポートエリンまで行って帰ってくるのも遠いか、と思ったが、折角だから一緒に走ろう!とポートエリン行き決定。DB NORIは同じクラブのメンバー、ブライアンと来ていたので彼と3人でポートエリンへ。このブライアン、ロンドン郊外在住のBusy Bee Cafe Clubメンバーなので顔は以前から知っていたが、マン島で再会して一緒に走る事になるとは。聞くと「Onchan」にホームステイしているそうだ。Onchanは「おんちゃん」でなく「オンカン」だとここで勉強。 道路の閉鎖が解除されるのを待ち、8時過ぎに出発。ヒルベリーからダグラス、そして緩やかなアップダウンのあるA5を駆け抜ける。Ballasalla(バラサラ)のパブがあるT字路を左折しA5をそのままコンティニュー、Castletown(キャッスルタウン)へと続く。そこから西端のポートエリンまでの道のりは格別。途中、3kmほどの短い間だが海沿いの道を走る事になるからだ。キャッスルタウンを抜けた後、再び住宅がまばらになり、草原が広がってくるようになる。そして短い登りを越えると、いきなりアイリッシュ海が眼前に広がる。それまでの草の香りから、潮の香りへと突如として変わる。まだ夕日が残っていて海の色が深い。そんな景色を楽しんでいると走行距離が驚くほどに伸びている事に気づく。一日に平均100kmは軽く走っているようだが全く苦にならない。黙々と走るのではなく、様々な景色があり、数々の名車と頻繁にすれ違う喜びが「距離」という感覚を鈍らせているようだ。 ポートエリンのホテル「Cherry Orchard」(チェリー・オーチャード)に到着。ホテルのパブ・レストランでGSOCのメンバーと再会!!春のストラトフォード、夏のマロリーパークでのイベントで会った面々と挨拶を交わす。何の話からかフェリーの話題になったため、その代金の高さに不平を言うと横からブライアンが「俺は2週間前に予約して、往復で80ポンドだった。」と自慢げに答えた。そんなバカな話があるか。自分は2ヶ月前に予約して往復で180ポンドも払ってるのに!! かなり前から予約していて安いのは合点がいくが何故ギリギリの方が安いのだ!? するとあるベテラン・メンバーが教えてくれた、「ある期間は予約が殺到するし、みんな自分の都合の良い日に帰りたいから高いんだ。ギリギリだと日にちや時間帯が大分制限されてくるから席を安くして売ろうとするんだ。」と。なるほど、フェリー会社の賢い売り方、と言う訳だ。ちなみにブライアンはいつもギリギリを狙うそうだ。もし予定が合わなければまた来年、と言った具合に。ちなみに現在(2007年9月)に来年のフェリーを予約すると何と往復20ポンド。そりゃ一年先の予定は中々組めないとはいえ、それは安すぎるんじゃないの!いや、それがオフシーズン時の普通の値段なのかもしれない・・・2杯ほどビールを引っ掛けた時には時刻10時過ぎ。そろそろソーシャルコテージへ行こうとするとブライアンが同行したいと言うので快諾。先ほどの道も夜になると、気をつけなければいけない。景色の移り変わりにも気づかないほど街灯が少ないからだ。特にソーシャルコテージへ行く山道は狭く、曲がりくねっているために2度目とはいえ肝を冷やす。 ![]() |
8月26日(日) 4日目 キャッスルタウン ホテル泊 |
![]() そしてメインの広場に進んでいくとバイクバイク、人ヒトひと!! ぎっしり詰まっていて祭りのようだ。所狭しと旧車が並べられていて、更にそれを見る人々でごった返している。これはDB NORIを見つける事も難しそうだなーと思った矢先、あるバイクの写真を撮っていると、同じようなポーズですぐ斜め前で写真を撮っている見慣れたライダースジャケットが!DB NORIを発見。偶然にも再会し、バイクを一緒に見て回る。駐車場の方には小さな教会らしきものがあって、開放されていたので少し観光。「The Old Grammar School」という建物で、教会、そして学校としても使われた建物で増改築されているが何百年も歴史があるそうだ。 DB NORIと島内での予定を話していると、彼はかなり事前にVMCCのラリー参加を申し込み、マン島は「観光」では無く「走りまくる」との事。早速今日のラリーから参加したそうだ。明日はレース後のクローズドされたコースをパレードするらしく、最初はラリーに興味が無かったがちょっと羨ましくなってきた。スタッフがいるテントで聞いてみると、これからでも登録できるとの事。早速参加させてもらうようにお願いする。参加費が70ポンド近くかかり懐具合が痛んだが、折角の機会だ!と自分を信じ込ませ清水の舞台から飛び降りる。参加者がマシンにつけている黄色いゼッケンや注意書きが入った封筒を渡されると、既に参加者気分になれて嬉しい。 ![]() そんな苦労をしているとDB NORIはGSOCのクラブメンバーと早々に引き上げてしまっていた。今日は夕方からポートエリンのチェリー・オーチャードでGSOCのミーティングがある。フィディーに話すとシャロンと一緒について来るというので、またしてもハヤブサ・ランデブー。昨日通った海沿いの道は、日がまだ高い事もあってキラキラ水面が反射し、穏やかだ。が、その景色を楽しむ余裕もないスピードでぶっ飛ばす。あっという間にホテルへ着いたが、フィディーは気づかず高速で前を通り過ぎていく。追いつけるはずが無いので、少し進んだところでシャロンとフィディーの帰りを待ちホテルへ。ホテルのパブ・レストランの一角はGSOC専用のスペースになっていて、ビュッフェ式の夕食にありつけるようになっていた。きっと他の車種のオーナーズクラブでも同じように集まっているのだろう。英国ではこうしたクラブの活動が活発で数十年の歴史を持っているクラブもざらにあるようだ。きちんとオーガナイズされていて、常識のある大人の集まり。日本でもそういうバイクのつながり方が今後増えていって欲しいものだ。 ![]() ![]() |
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